隠然たる学術都市モンペリエ

　DOLにおける町並みからは知り得ない、モンペリエの歴史について記します。

　モンペリエは、イベリア半島北西部の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路上にある宿場町として巡礼者を受け入れていました。このときはイスパニアの前身のひとつ、アラゴン王国の影響下にありました。

　這ってでも聖地に向かおうとする敬虔な信者を癒すため、であるか否かは定かでありませんが、1220年に医学校が設立され、1289年にはときのローマ教皇ニコラウス4世からの承認を受けて大学となりました。

　これよりも1～2世紀ほど歴史の古いボローニャ、パリ（ソルボンヌ）、オックスフォードとともに、名門大学の集合体ともいうべき「ストゥディウム・ゲネラーレ」のひとつに列せられました。医学といえばモンペリエ。DOLのマルセイユに邸宅を構えるラブレーおよびノストラダムスがここで学んだという経歴を有しています。

　大学の古文書館の屋上には木が一本根ざしており、「この木が枯れるとき、モンペリエの町は滅びるであろう」とノストラダムスは予言したそうです。これはウィキペディアからの引用であり、文献にて確認をとるには至っていないために書くのは適切ではないと思います。とはいえ、DOLに縁のある人物の言葉ということで参考までに。

　なお、モンペリエが仏領となったのは、幸運王フィリップ6世が併合してからのこと。いわゆる14世紀3期、百年戦争最初期の頃です。
　1537年には、モンペリエの勅令が発布されました。騎士王フランソワ1世の名の下に、司書長ギョーム・ビュデらが中心となり王立図書館へ出版物を納めるよう出版者に義務付けたものです。日本の国立国会図書館などでも採用されている、納本制度の始まりとされています。各種出版物の散逸防止、網羅性の保持に寄与する、意義ある政といえましょう。